キャッツにおいて、「ジェクリル」「ジェクリルキャッツ」という言葉がよく出てきます。
初めはよく意味がわからず、ジェリクル?ジェクリル?どっち(笑)なんて思い、ストーリーより舞台の世界観や歌声の響きに圧倒されておりました。
まだ自分が小さかった(初めての鑑賞は小学生でした)ということもありますが・・。
何度か見ているうちに、「ジェクリル」が一種のキーワードであり、キャッツというミュージカルのストーリーを担う大事なものということで、気になりだしました!
今回は、改めて「ジェクリル」「ジェクリルキャッツ」を検証していき、選ばれるグリザベラについて検証したいと思います。
※ネタバレを含みますので、知りたくないという方はスルーしてくださいね!
1.ジェクリル、ジェクリルキャッツとは?
ジェリクルは英語ではJellicleと書きます。
原作者のT.S.エリオットが作った言葉で、jewelry:宝石類、アクセサリーとmiracle:奇跡(きせき)という2つの単語を足して作られたようです。
上記はミュージカルのストーリーに則る形での解釈ですが、原作を和訳した池田雅之氏は、jellyとcle(ぷにぷにした小さい感じ?)と訳されています。
どちらが正しいというのは、そもそもミュージカルありきかなしで考え方が異なるので、両方とも「あり」なんでしょうけど。
ジェリクルキャッツとは、
人間に飼い馴らされることを拒否して、逆境に負けずしたたかに生き抜き、自らの人生を謳歌する強靭な思想と無限の個性、行動力を持つ猫
とのことです。
キャッツのミュージカルに出てくる24匹全ての猫がジェリクルキャッツなのです!
「組織に染まらず・・」と書き換えれば、あっ心当たりある!なんて思えるのは、私だけではないはず(笑)
強靭な思想と行動力はまだ伴っておりませんけど・・・(汗)
ミュージカルでは、そのジェリクルキャッツの最優秀(「真の」とも言える?)を決める舞踏会が開かれるわけです。
その「ジェリクルキャッツ」に選ばれたのは、グリザベラという娼婦猫なのです。
2.グリザベラ(娼婦猫)とはどんな猫?
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手前がグリザベラです。
ぼろぼろな毛皮(コート)を纏う老いた雌猫です。
昔は絶世の美猫で、何匹もの雄猫から賞賛を浴びた娼婦猫という位置付けです。
コートの下は黒のスリップなのでしょうか・・?過去の栄光を引きずっているのが痛々しい感じです。
ミュージカルを見たことがない人でも「メモリー」という曲はご存知の方が多いと思います。
あのメモリーを熱唱する猫でもあります。
キャッツにおけるヒロイン役ですが、みんなからの嫌われもので、最後の方まで誰一匹にも相手にされないというかわいそうな猫なのです。
劇中もメモリーを熱唱する以外は端っこの方にしかいません。
その誰からも相手にされないグリザベラがジェリクルキャッツに選ばれるのです!
3.グリザベラがどうしてジェリクルキャッツに選ばれたのか?
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グリザベラが最後ジェリクルキャッツに選ばれ、天上界に召されます。
初めは過去の栄光を引きずり、誰からも相手にされないということに居直っている部分も感じられます。
でも彼女は変わっていきます。
オールド・デュトロノミー(長老猫)言葉を噛み締め、腐敗した自分の姿の中にも、再生を心から望み「メモリー」を歌い上げるのです。
シラバブ(赤ちゃん猫)は純粋で無垢なので、心の底からメモリーを歌ったグリザベラに一種の共感を感じたのかもしれません。
清い心や純粋さをちゃんと見極められるのもシラバブならではですよね。
見た目や外見で判断してしまって本質を見ようとしない私たちへのアンチテーゼのようなものにすら感じます。
また、キリスト教的な解釈をすると、グリザベラ=マグダラのマリアという位置付けなのではと。
あくまで猫の世界の話ですが、グリザベラはマグダラのマリアと同じで、娼婦(売春)は罪であるけれど、死ぬ間際に真実を告白して、許されジェリクルキャッツとなったわけです。
天上界に召されるということは、死ぬ事ですが、新しい命を得るとも解釈されます。
新しい命を得て、人生をやり直す?のでしょうか?ともあれ今度こそ幸せになって欲しいと心から願います!
4.まとめ
許しを請う、人生やり直せるという壮大なテーマに行き着いた「キャッツ」は何年も皆んなに愛される作品であると改めて考えさせられました。
少しネタバレ的要素もありましたが、こういった視点でもキャッツを楽しんでいただけたら幸いです^^