ミュージカルに興味がなくても「キャッツ」という言葉は聞かれたことがある方は多いですよね。
日本では、劇団四季のミュージカルでお馴染みの「キャッツ」ですが、オリジナルのストーリーではなく原作があるというのをご存知でしたでしょうか。
今回は、原作についてフォーカスし、ミュージカルでどれぐらい忠実に再現されているか。
またミュージカル用としてオリジナルに追加された部分があるのか?と気になる部分の核心に迫ります!
「キャッツ」の原作とは?
劇団四季ミュージカル「キャッツ」の原作は、イギリスの詩人T.S.エリオットの詩集『Old Possum’s Book of Practical Cats(ポッサムおじさんの猫とつき合う法)』です。
詩人:T.S.エリオット
イギリスの詩人という位置付けですが、誕生はアメリカ(セントルイス)です。
39歳の時にイギリスに帰化し、イギリス人となったのです。
第二次世界大戦後の1948年に「ノーベル文学賞」を獲得している偉大な方なのですが、難しい顔をして難解な詩を書く人としても有名です。
ポッサムおじさんの猫とつき合う法
この詩集は、エリオットが自分の勤める出版社の社員の子供たちのために書いたもので、1939年に出版されましたが、日の目を見ることは当時ありませんでした。
偉大な功績を挙げた詩人の駄作?とも言われたかもしれませんね。
元々、猫好きで、ポッサムおじさんとはまさに本人のことです。
自分の猫好きが功して、社員の子供達とはいえ上梓するなんて、可愛い一面もあるのだなと思います^^
詩集は、15編で構成されています。
- 猫に名前をつけること
- おばさん猫ガンビー・キャット
- 親分猫グロウルタイガー 最後の戦い
- あまのじゃく猫ラム・タム・タガー
- お茶目なジェリクル猫たちの歌
- 泥棒コンビ猫マンゴジェリーとランベルティーザ
- 長老猫デュトロノミィー
- ベキニーズ一家とボリクル一家の仁義なき戦い
- 猫の魔術師ミストフェリーズ
- 猫の犯罪法マキャビティ
- 劇場猫ガス
- ダンディ猫バストファー・ジョーンズ
- 鉄道猫スキンブルシャンクス
- 猫に話しかける法
- 門番猫モーガン氏の自己紹介
劇団四季「キャッツ」での原作との違い
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原作は、1編ごと独立しているので、全体を通してのストーリー性はありません。
劇団四季のミュージカルでは、上記中「8.ベキニーズ一家とボリクル一家の仁義なき戦い」と「15.門番猫モーガン氏の自己紹介」が省略されています。
残り13編をミュージカルの中で忠実に再現しており、まず詩に曲がつき、最後にストーリーとテーマがつけられるという手順で「キャッツ」は作られたのです。
そして、ミュージカルでは原作にはない部分が追加されているのです!
『メモリー』を歌う娼婦猫グリザベラの存在
ミュージカルの終盤で歌われる『メモリー』はキャッツの代名詞とも言われる歌です。
実はエリオットの上梓した詩集には、7・8行程の未完の詩があったのです。
エリオットの妻、ヴァレリー夫人によって「娼婦猫グリザベラ」とタイトルの付いた詩を作曲家ロイド・ウェバーに渡されたのです。
元々、子供達に親しんでもらうようにと考えて作られた詩集なので、グリザベラの存在というのは、悲劇的な要素しかもたらさないものでした。
だから敢えて書いたものの、詩集にはその存在をエリオット自身が消してしまっていたのです。
しかし、このグリザベラの持つ暗く悲劇的な要素こそ、原作にはなかった「祈りと救済」という普遍的なテーマをもたらすことになり、ミュージカルとして完成に至ったのでした。
まとめ
「キャッツ」のミュージカルは、グリザベラの存在なくしては語れないほど、この雌猫の存在は大きいです。
原作を知ってから知る「キャッツ」のミュージカルの楽しみ方もあるのではないでしょうか?