映画「メッセージ」が2017年5月19日、日本公開いたしました!
・映画の評価(レビュー)や感想はつまらない?面白くない?
・あらすじ(ストーリー)や結末はどうなっているのか?
・「殻」(宇宙船?)は、ばかうけ(お菓子)にしか見えないって本当?
アメリカのSF作家テッド・チャンの「あなたの人生の物語」が原作である本作。
原作との違いなどにも触れつつ解説をしていきます。
映画に関するネタバレもありますので、ご了承の程おすすみください。
気になる方は、以下目次を参照していただき、クリックしておすすみください。
※本ブログ記事は、アップ後さらに追記していくので、ご了承のほどお願いいたします。
目次
1.映画【メッセージ】作品情報
1-1.基本情報と上映時間
脚本:エリック・ハイセラー
原作:テッド・チャン「あなたの人生の物語」
音楽:ヨハン・ヨハンソン
上映時間は116分です。
短編小説が原作なのですが、比較的忠実に描いている作品です。
科学用語が非常によく出てくるので、そちらを”いい意味で”省いているという感じでしょうか。
2時間以内に収めるということで、難しい映像化しにくい部分を省略するというのは、とても良い選択だと感じられました。
1-2.アカデミー音響編集賞:受賞作品
第89回アカデミー賞(2017年)において、音響編集賞を受賞した本作。
受賞したシルヴァン・ベルマールは、カナダの音響編集者、音響デザイナーです。
英国アカデミー賞でも音響賞を受賞しており、「メッセージ」における音響における効果は絶大なものであると考えられます!
1-3.監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
1967年10月3日生まれのカナダの映画監督、脚本家です。
ケベック大学で映画を学んだ後、「August 32nd on Earth」で映画監督デビュー。
ジニー賞の監督賞は『渦(英語版)』(2000年)、『静かなる叫び』(2009年)、『灼熱の魂』(2010年)で計3回受賞して降ります。
『灼熱の魂』は第83回アカデミー賞の外国語映画賞にカナダ代表として出品されノミネートを果たしています。
ハリウッド進出作品となった「プリズナーズ」(2013年)では、アカデミー賞撮影賞にノミネート。
「ボーダーライン」(2015)は、カンヌ映画祭出品作品となり、アカデミー賞では撮影賞・作品賞・音響編集賞にノミネート。
2017年は、「メッセージ」に続き、「ブレードランナー2049」「デューン/砂の惑星」の続編の監督にも抜擢されて降り、ハリウッドで最も注目される監督であります!
ブレードランナー2049は、前作に引き続きハリソン・フォードが続投し、ライアン・ゴズリングも出演!
個人的に秋の注目作品です♪楽しみすぎますっ。
「ラ・ラ・ランド」も素敵でしたね^^
2.映画【メッセージ】キャスト(登場人物)
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2-1.ルイーズ・バンクス博士(エイミー・アダムス)
出典:vogue
愛娘を亡くしてしまう言語学者・ルイーズ。
シングルマザーとして、離婚後は女手一つで仕事と家庭を両立しながら育てていました。
ある日突然軍に要請され、謎の宇宙船と生物の調査に駆り出されます。
そんな主人公(ヒロイン)を演じるのは、エイミー・アダムスです。
*エイミー・アダムス(経歴)
出生地:イタリア/ヴィチェンツァ
軍人だった父が当時赴任していたイタリアで生まれ、その後はアメリカのコロラド州キャッスルロックで成長していきます。
高校時代は学校のコーラスに参加したり、地元のダンス・カンパニーでバレエを習っておりました。
しかし高校卒業後にバレリーナとしての夢を断念し、GAPの店員やフーターズのウェイトレスをしていたそうです。
18歳までウェイトレスとして働き、その後移住したミネソタでダンスを学び、演技に目覚めます。
1999年の「わたしが美しくなった100の秘密」でスクリーン・デビュー。
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の出演は、スピルバーグが見せた彼女のテープがディカプリオの目に留まったことがきっかけだったそうです。
この時点では、まだ注目される女優ではなかったエイミー・アダムス。
転機となったのは2005年の『Junebug』で、同作品でインディペンデント・スピリット賞や全米映画批評家協会賞を受賞。
アカデミー助演女優賞にもノミネートされました。
*出演作品(抜粋)
・「魔法にかけられて」2007年公開
・「ザ・ファイター」2010年公開
・「ザ・マペッツ」2011年公開
・「スーパーマン」2013年公開
・「アメリカン・ハッスル」2013年公開
・「ビッグ・アイズ」2014年公開
『ビッグ・アイズ』で第72回ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞しており、アカデミー賞では、主演女優賞・助演女優賞に何度もノミネートされている実力派の女優です。
ハリウッド殿堂入りを果たしたエイミー・アダムス主演の映画「メッセージ」は、さらに飛躍する出世作ともなるでしょう!
2-2. イアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)
エイミーと共に軍の要請を受けた物理学者イアン・ドネリー。
謎の生物とのコンタクをに関して、科学的知見から援護します。
物理学者イアンを演じるのは、ジェレミー・レナー。
*ジェレミー・レナー(経歴)
出生地:アメリカ合衆国 カリフォルニア州モデスト
カリフォルニア州モデストにて、ボウリング場を営む夫婦の第一子として産まれました。
5人の弟妹がいるそうですが、その他に40歳下の弟が誕生したことをトーク番組で明かしたそうで・・・^^;
息子・・ではなく、弟なんですね!!
1995年に「ナショナル・ランプーン/ホワイトハウスを乗っ取れ!」でスクリーンデビュー。
その後脇役で経験を積み、「ハート・ロッカー」でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。
続いて「ザ・タウン」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされて居ります。
*出演作品(抜粋)
・「ジェシー・ジェームズの暗殺」2007年公開
・「ハート・ロッカー」2008年公開
・「ザ・タウン」2010年公開
・「アベンジャーズ」2012・15年公開
・「アメリカン・ハッスル」2013年公開
「アメリカン・ハッスル」で、エイミー・アダムスと共演しており元々友人とのことです。
安定の二人の演技にも注目ですね^^
2-3.ウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)
アメリカ軍の大佐で、ルイーズに言語解明に向けて要請する人物。
ウェバー大佐を演じるのは、フォレスト・ウィテカーです。
1961年7月15日、アメリカ・テキサス州生まれ。
「初体験/リッジモント・ハイ」(1982)で映画デビュー。
「クライング・ゲーム」(1992)、「プレタポルテ」(1994)、「スモーク」(1995)で評価を高めています。
「ラストキング・オブ・スコットランド」(2006)では、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞の主演男優賞に輝きました。
最近では、「ローグワン」(2016)に出演しております。
2-4.ハルパーン捜査官(マイケル・スタールバーグ)
出典:pinterest
CIAの捜査官ハルペーンを演じるのは、マイケル・スタールバーグです。
1968年7月5日、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。
演劇出身で、そちらでは高い評価を受けておりました。
「シリアスマン」(2009)で映画界からも注目を浴び、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞にノミネートされました。
その他出演作は「スティーブ・ジョブス」(2015)「MILES AHEAD/マイルズ・デイヴィス空白の5年間」(2015)などがあります。
3.【メッセージ】あらすじ(ストーリー)*ネタバレ注意*
3-1.あなたの人生の物語
湖畔の家に一人で住むルイーズは言語学者であり、度々ある女の子との日常が頭を過っています。
その子は、無邪気な赤ちゃんであったり、反抗期真っ盛りだったり、絵本を一緒に読んでいたり、庭で遊んでいたり・・・
年齢も都度バラバラです。
最期は、病気で亡くなり、悲しみに暮れています。
どうやら自分の娘らしい・・・?
3-2.政府から緊急要請
教鞭をとっている大学に行き、授業開始の時間。
いつもより人が少ないながらも通常通り授業がスタート。
あちらこちらで着信音が鳴り響きます。
ルイーズ「何か事件でもあったの?」
生徒「ニュースをつけてくれませんか。」
ニュースでは、世界各地に、謎の物体「殻」が到来し、パニックに陥っている様子が映し出されていました。
その直後、サイレンが鳴り響き、授業は強制終了します。
ルイーズも何が何だかわからないまま家路につきます。
次の日、いつも通り大学に向かいますが、厳戒態勢が敷かれているのか人影すらない状況です。
大学の自室にてニュースを見ていると、ウェーバー大佐が訪ねてきます。
レコーダーを差し出し音声を聞かせる大佐。
「エイリアンが何と言っているのか、地球に来た目的を解読してほしい」とルイーズに要請します。
知っている言語の翻訳と違い、まず実物を見て表情から判断しないと・・とルイーズは、エイリアンに会わせてほしいと頼みます。
しかし、危険が伴うし機密事項だからと、対面することを認めない大佐です。
3-3.モンタナへ!宇宙船「殻」へ乗り込む
ウェーバー大佐は、ルイーズの提案を却下し立ち去ろうとしましたが、サンスクリット語に何かヒントがあるとルイーズは伝えます。
明け方、ルイーズ家へ突然爆音が・・!ヘリコプターにて、軍の迎えがやって来ます。
そのまま、アメリカのモンタナにある「殻」の元へ移動し、政府と協力して解読を開始します。
そこでは、同じく解読を依頼された物理学者のイアン・ドネリーもおり、共に調査をします。
地球上の12の地域に同じような「殻」が存在しておりました。
ルイーズ達のいるアメリカ(モンタナ)他、日本・中国・ロシア・パキスタン・イギリス・オーストリアなど。
出現した各国では、お互いに協力しあって情報のやり取りを試みているが、なかなか難しい局面に当たっている模様です。
軍関係者と共に「殻」の内部に侵入するルイーズとイアン。
18時間ごとに殻の入り口が開くようで、滞在時間は1時間もないらしい。
謎の生命体の正体は・・・、タコのような足を持ち、7本の「手」を持っています。
3-4.ヘプタポッドと交流
初対面を経て、今度は視覚効果を得ようと、ホワイトボードを持ち出すルイーズ。
「HUMAN(人間)」と書き、自分たちの存在を謎の生命体に教えようとします。
交流して行くと、7本の手(先端)から炎上の図形を吐き出すことが判明し、表意文字のようであると理解していきます。
時間をかけてコンタクトを取り、円状の図形をコンピューターに打ちこみ、会話を試みるようになります。
ルイーズとイアンは、タコのような足を持つためヘプタポッドと総称し、2体にはアボットとコステロというニックネームをつけます。
3-5.世界各地で臨戦態勢に
「殻」が現れた各国で、政府主導の元言語学者や翻訳者・科学者達が、謎の生命体の解明に向けて、それぞれ動いておりますが波長が合いません。
とうとう、定期ミーティングで中国とロシアが回線を繋ごうとしなくなります。
特に中国では核攻撃を仕掛けようとしており、生命体が出現したのは、地球への攻撃が目的なのではとさらに疑いが広がっていきます。
テレビなどの報道により、世界各国では生命体出現による不安が広がります。
人々によるデモや暴動が発生し、収拾がつかない状況までになって来ました。
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3-6.武器とは
ある程度の会話ができるようになったルイーズは、「なぜ地球に来たのか」の真意にいよいよ迫ります。
ヘプタポッド「Use weapon(武器を使え)」
それを聞いた軍部は、彼らが攻撃を仕掛けてくると思い込みます。
と同時に、世界各地でも同様な状況となり、特に中国は直ぐに攻撃開始!状態です。
ルイーズは、武器とは攻撃ではなく、技術を使うという意味など他の解釈が考えられると主張しますが、軍部や各国関係者は聞く耳持たずです・・・。
3-7.「殻」への攻撃をついに開始
気になることがあるルイーズは、イアンと共に「殻」へ乗り込みます。
ヘプタポッドは、先端から文字を吐きますのですが、新しい文字や膨大な数の文字を一気に放出します。
意味がわからず訪ねようとしますが、軍部の一部の人が先走ってしまい爆弾を仕掛けていたのでした。
爆発寸前で、ルイーズとイアンは吹き飛ばされてしまいます。
この吹き飛ばしは、殻からの脱出であり、ヘプタポッドは二人を助けてくれたのでした。
そして、イアンの科学的知見により、「ヘプタポッドは人間と協力したがっている」ということがわかります。
3-8.ルイーズ覚醒
ルイーズ達は、再び攻撃を止めるように要請しますが、聞き入れてもらえません。
ルイーズはもう一度「殻」に乗り込みヘプタポッドとコンタクトを取ろうと一人向かいます。
「私たち人間が、あなた達に協力できることは何なのか教えて欲しい」
「ルイーズが ”武器” なのだ」
ルイーズは、度々、娘と思われる女の子との情景がフラッシュバックのように現れていましたが、ヘプタポッドと交流を深めるごとに鮮烈になっていたのでした。
しかし、これらは、今後ルイーズに起こる「未来の出来事」だったのでした!!
彼らの時間の概念は、人間の認知する過去・現在・未来を順を追って理解するのとは違います。
全てを「点」捉えており、時系列というものが存在していないのです。
フラッシュバックと思っていた情景は、未来の自分を認知しているということだったのです。
「3000年後、地球人の協力が必要となるためにやって来た」
ヘプタポッドは、ルイーズにコンタクトすることにより、自分たちの言語を伝える=未来を見る力を覚醒させた?ということでしょうか。
ルイーズが、自分たちの言葉を解読することにより、未来にやって来ても人々が混乱しないようにする目的だったのです!
武器とは? ルイーズの未来を見る力。宇宙語を解読することのできる能力。
と捉えることができます。
ルイーズは、未来の自分が、習得した言語を出版しており、学会で発表している姿を見ます。
と同時に、ヘプタポッドの言語も完璧に理解していることに気づかされます。
3-9.「殻」が地球上から消滅
「殻」から降りて来たルイーズですが、群関係者は撤退準備に奔走して降りました。
その直後、またしても未来が見えてくるのでした。
1年半後・・・
祝賀会(パーティー)にて、中国のシャン上尉より、感謝の言葉を述べられています。
「あなたのおかげで攻撃を止めることができました。あなたは誰も知らない妻の死に際の言葉を言ってくれました。中国語で」
中国語が話せないルイーズですし、現時点では心当たりもありません。
ルイーズは、未来を見る力を使い、携帯を奪い将軍を説得します。
それにより、中国は攻撃を中止し、地球上の「殻」の全てが地球上から去っていくのでした。
3-10.結末
地球は平穏無事となり、イアンはルイーズに「告白」をします。
ルイーズは、フラッシュバックで見ていたのは、娘ハンナであり、イアンが父親であることをこの瞬間知ります。
そして、最愛の娘を病気で亡くしてしまうことを伝えてしまったことにより、離婚に導いてしまったことも・・・。
「2人の未来がどうなるか、私が既に知っていたらどうする?」とイアンに訊ねます。
「子供が欲しいな」
ルイーズは、悲しい結末を迎えるであろう未来を受け入れ、イアンに応えました。
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4.【メッセージ】評価(レビュー)と評判の声
4-1.一般的な評価は?
大手の映画評価サイトでは、
*Yahoo!映画(5点満点中3.78点)
*Filmarks(5点満点中3.9点)
2017/05/20時点ですが、個人的には思ったより一般的評価も高いなと感じております。
SF的要素で期待されている方は、かなり評価を下げてくると思うので、其のあたりが4点台を超えてこなかったのかもと。
ヒロインの個人的感情や、コミュニケーションの本来のあり方などにフォーカスされている作品なので、そこに注目していただくと感動できる映画です^^
4-2.2017年度アカデミー賞受賞作品
上記にも記載しておりますが、アカデミー賞の音響編集賞を受賞しています。
実は、8部門にノミネートされている評価の高い作品です!(受賞は1部門)
「ラ・ラ・ランド」「ムーンライト」に隠れてしまってましたが、作品賞・監督賞あたり受賞してても遜色なしですよ!
4-3.映画監督も大絶賛!
新海誠(「君の名は」監督)
テッド・チャンの名作「あなたの人生の物語」の、想像よりもずっと誠実な映画化。
ヘプタポッドのあの表義文字がスクリーンに現れた時の感動・・・・!
とても素敵な映画でした。良かった。好きです。
片渕須直(「この世界の片隅に」監督)
自分自身の人生に直接向かって来る映画。
いつも頭上を覆う鈍い曇り空も、未知のものに触れる取り返しのつかない痛みも、
そしてたぶん僕が立つ何か意味があるのだろうと思える愛おしさも。
主にアニメ制作をされている監督さんたちの称賛が多いですが、監督という立場で、作品を俯瞰されているので、重みがありますね^^
4-4.SNS上での評価・評判の声
メッセージ
観てきました正直、一度観ただけでは
理解は難しいかと思いますただ、なんとなく
新しい扉が開けそうな
映画かな⁉と個人的な感想#メッセージ pic.twitter.com/mv0EmCvmmi— toshiharu kainuma (@palhta) May 19, 2017
映画『メッセージ』観てきた。
(表感想)
突然の宇宙、もしくは異世界からの来訪者、その真意とは?という壮大なストーリーの中にちりばめられた多くのテーマを考える映画。派手なアクションも山場も無いけど、全編主人公と共に考え、探るみたいな感覚になるので飽きない。 pic.twitter.com/Jb1tEQZeMG— しんたろう (@sudoemon) May 19, 2017
メッセージ観ました。
どんな感想を書いてもネタバレになりそうで迂闊なことはかけないですが。
四次元的なセンスは必要そうです。
解釈は人それぞれで良さそうな、とても良い映画でした。 https://t.co/PyfdcRdiBJ pic.twitter.com/VABs6GtH5I— ブレナー博士 (@HueBrener) May 20, 2017
音楽や映像で演出はあるものの、派手さはない作品ですよね。
感情に焦点が当たっていて、深く考えさせられた作品です。
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5.【メッセージ】感想と見どころを解説
5-1.サピア・ウォーフの仮説
「サピア・ウォーフの仮説」とは、話す言語によってその人の世界観や、考えが決定づけられるという仮説で、言語=思考と大まかに捉えられる考え方です。
映画の中でも、イアンが「ヘプタポッドの言語で夢を見ることがあるか」と訊ねている場面があるのですが、ルイーズは、あると返事をしています。
仮説によると、ある言語を学び始めると、其の言語で夢を見たり考えたりするようになるそうです。
ヘプタポッドの言語を習得していくたびに、ルイーズに変化が起こっていることがわかります。
フラッシュバッグが過去のものではなく未来のことであったり、ぼやけていたものが鮮明に見えてきたりと。
原作・映画とも、この仮説に対して、丁寧に描かれていてとても分かり易かったです!
5-2.文字デザインやサウンド(音楽)の素晴らしさ
謎の生命体の表現が、音楽で体現されていると感じられる作品ですが、無音だったり人間界においては想像もできない音だったり、いろいろな要素が散りばめられていました。
7つの手の先から吐き出される墨汁を流したような円形の文字。
1つ1つに意味があり、抽象的ですがアーティスティックなデザインが、脳裏にやきつきしたね^^
あの原作をどういう風に映像化するのであろう・・・と疑問だったのですが、想像を超える映画でした!
小説は短編ながら、物理学や言語に関しての考え方にフォーカスしていて、個人的には難しく・・・(苦笑)
また、サウンド効果や音楽で、緊迫感やストーリーの深度を掘り下げていかれて、終始ドキドキさせられました。
3Dとかで観たら、泣きそうになるかも・・・(笑)それぐらい映画とサウンドが密着しているということで^^
5-3.「Hannah(ハンナ)」の名前の意味
ルイーズは、娘の名前を「Hannah(ハンナ)」と名付けます。
右から読んでも、左から読んでも同じスペルと発音です。
ヘブタポットの過去・現在・未来と時系列や時制という概念を覆している言語は、文章の始めと終わりが同時なのです。
終わりも始まりもない「永遠」「無限」みたいなものを表現する名前なのですね!
文章の始まりを書いている時、既に終わりがわかっているという書き方を習得したルイーズは、エイリアンに「選ばれた人間」です。
ヘプタポッドの言語を習得したルイーズだからこそ、この名前を親として託したのかもしれません。
5-4.エイミー・アダムスの演技力
出典: eiga.com
娘を失い、夫も去ってしまった・・・これ以上失うものは何もないという状況から、未知なるものへの遭遇。
命の危険すら感じつつも勇気を持って向き合っていく姿は、美しくも悲しく観ている側の心に響きました。
実際、映画冒頭からストーリーは、ルイーズがハンナに話聞かせるように語られています。
その語り方にも愛情が感じられ、覚悟持ってヘプダポッドと向き合っていることが映像を通して鮮明でした。
ルイーズの真摯な姿を受け止めたからこそ、ヘプダポッドも心を開き、言語を解読する「鍵」をルイーズに見せたのかもしれません。
ルイーズという女性の人間性、感受性、知性を表現できたのは、ハリウッド屈指の演技派女優であるエイミー・アダムスだからこそ!
実際に6歳の娘さんの「母」でもあり、演技力との相乗効果で、感動のラストシーンが醸成されたかと^^
5-5.「殻」宇宙船は「ばかうけ」にそっくり?
ネットなどのニュースでも話題になっているそうですが、あの「ばかうけ」にそっくりだとか^^
監督もそのことを受けて、ウィットなジョークでまとめられていますね(笑)
実際は、太陽系を公転する実在の小惑星を参考にしているそうですよv
@camelletgo さすらいさん初めまして、さすらいさんの発言を受け、ばかうけの写真と合成しました。確かに、ARRIVALの物体はばかうけそっくりですね! pic.twitter.com/G6AZ1WONpA
— che bunbun (@routemopsy) August 18, 2016
5-6.コミュニケーションの本質
言葉が通じない局面に立たされた時、相手とどう向き合うのかという命題を突きつけられる映画です!
未知なる生命体とのファーストコンタクトは、恐怖で終わってしまいます。
そこから、ホワイトボードを利用して視覚に訴える、防護服を脱ぎありのままの姿を見せるなど、真摯に向き合う姿勢を見せていきます。
少しずつ歩み寄ることにより信頼を得ていくというのは、地球上でのコンタクトでも同じことが言えるのではと。
価値観の相違や理解の矛盾によって起きる戦争や暴動についても考えさせられました。
6.まとめ
出典: eiga.com
SF的要素もありつつ、ヒロインの内面にフォーカスしている素晴らしい作品です。
一度見ただけでは、受け止められない部分もあり、じっくりと味わいたいです^^
長々と書かせていただきましたが、語りたいことがどんどん溢れてくる感覚です。
想像以上に良かったです!是非、映画館でご覧くださいね♪